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本作の真相・あとがき
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本ページは、「 本編のネタバレ 」を含みます。
本編ご視聴後の閲覧をおすすめいたします。




*** 本作を視聴頂いた皆様へ


本作「星降る夜に白昼夢」はいかがでしたでしょうか。

物語のラストはハッピーエンドが良いのか、バッドエンドが良いのか・・・。
それらは人の価値観に寄るところですが、

私は両者(ハッピーとバッド)の間を取るラストをよく作りますので、
視聴頂いた方それぞれの解釈により、本作品を聴き終えて頂ければ幸いです。

ボイスドラマは、"声"や”音”に耳を傾け、臨場感に浸ることを楽しむ作品です。
毎作品、試行錯誤しながら非常に楽しく作品作りをさせて頂いております。

つたない部分も沢山ある中、キャストの皆様、そして使用させて頂いた音楽・効果音・機材・
制作ソフトのご提供者様、そして、スタッフに救われました。

最後までお聴き頂いた皆様も、本当に有難うございました。
[ 2024.05.30 諸星ユキヒト ]



以下は本作の真相について、また、制作を終えての"あとがき"になります。
制作時の話なども交えながら、本作に関して、私(諸星)の取り留めの無い話を
書き連ねています。
本編をご視聴後、気になった方がいましたら読んで頂けると良いなと思います。



*** 非日常をまるで日常のように過ごす世界、そして人々———。
本作中では、" 普通 " の中に潜む " 異質さ " を表現しました。



物語を追っていくと、冒頭はなぜか首相(らしき人物)のセリフから始まります。

祥子と潤の会話や天気予報の内容はどこかおかしく、

家のローンはもうどうでもよく、

子供(家族)の話は「またどこかで」、

夜寝るのになぜコートとニットを着るのか、化粧やおしゃれをする必要があるのか、

星降るとは、一体何なのか———。

不審な点が作中に散見され、ラストのキャスト様のセリフにより、
この世界の真相がわかる構成になっています。



*** 音響演出について


視聴頂くすべての方に、なるべくは心穏やかに聴き終えられるような作品にしたく、
演出面では、波音・砂浜・鳥の声などの自然音を随所に取り入れてみました。

冒頭に電車の音が入りますが、実際の神奈川 江ノ電の音になります。
江の島は、電車を降りるとすぐ海が見えますので、
波の音と共に ほんの少し車道や電車の通過音が聞こえます。

また、遠くの方では時折ヘリコプターの音、頭上では野鳥の鳴く声が響きます。
浜を歩けば、砂粒の音や漂流してきた小枝を踏みしめた際にパキパキと音が鳴ります。
きっと、訪れた誰もが海を眺めながらゆっくりと歩くでしょうから、
通常よりも効果音の幅を大きめに取ります。

祥子と潤が浜辺を散歩する場面(Scene02)は、
江の島の音 / 雰囲気そのもので、まだ行ったことが無い方には、
歩いているだけでも楽しい名所が沢山あるので、おすすめしたいです。



私はもともと絵描き、なのですが、
音の調子やリズム、耳心地の良さをつくり出す工程は、
絵を描く工程で言うところの各「レイヤー」の、パーセンテージ調整に近いように思います。

波音にスポットを当てるならば、色々な種類・音程の波音を、パーセンテージを変えながら
層のように重ねていくことで、耳なじみの良い音が作り出せることがあります。
(もちろん、上手くいかない時もあります)

スタッフそれぞれで訪れた各地域の効果音も度々 使用しますが、
地域や天候、季節により、聞こえてくる音というのも様々です。
私自身、海外へ行った先で「ここの音はいつか作品上で表現をしたい」
と思うことがあり、そこからシーン・ストーリーが組み上がることがあります。

毎作、音響演出は挑戦の連続ですが、穏やかなシーンでは自然音とか、
そういうゆったりと安らぐような時間を届けられていたら嬉しいです。



*** 実際に起こりそうで、でも、こんな突然の事態は
自分たちが生きている間には起きないだろう。そう、思っていた―――。



ミステリーやファンタジーなど書いている自分自身も
実際には起こり得ないだろうと高を括り、夢物語のようにしか書くことができない時点で、
いかに自分たちの日常が平和であるか
平和ボケしてしまっているかを、本作を書き起こした際に痛感しました。

日本は特に地震や台風による災害がありますし、天災には逆らえず、
どの地域に住んでいようが、明日は我が身かもしれない。
ですが、人々は日々それらに怯えて生きてはいません。

だからこそ、もし突然、自分が当事者になってしまった時は、
「これは悪い夢なのかもしれない」と、平凡だが幸せな日常との乖離に
意識が追いつかなくなる体感をする可能性があると思います。
「夢」が、私達の平時の領域を侵すことはあるかもしれません。



今作の世界が隕石によって滅びたのは事実ですが、
ラストシーンの祥子と潤は、「死の世界」の二人なのか、
「新天地」で生まれ変わった二人なのか、
視聴者様には、どちらか好きなラストを選んでもらう形としたいと思います。
(私は新天地がいいなあと思います)

宇宙へ逃げられたとしても、
幸せなラストが待っているかどうかはわかりませんし、
人にとっての幸せな終わりは共通ではないと思いますので。

白昼夢は、夢か現実かわからず意識を宙に浮かせている状態だとして、
人は死んだ後(体を失なった後)も夢を見ることができるのか、
というテーマを、ストーリー上に含んでいます。

その答えは、今を生きている私達には知る由も無いことですが、でもいつか知ることになる。
現実と非現実の狭間のような世界を今作品にて表現できていたら幸いです。



*** おわりに


本年は、家族で大病した者が複数人いまして
今まさに、人の生き死にに直面し、打開のために奔走しております。

また本年は、年始の石川県での震災、羽田での航空機事故からはじまり、
厄災にみまわれた年です。

日々、健康で何事もない日常を送れること、
それ以上の幸せは無いのだと、今、自身が痛感しております。
また今作についても考えるきっかけとなっております。

人生のある程度は決められた運命かもしれないとはいえ、
決して幸運とはいえない、突如として降りかかる運命は理不尽であると私自身 考えております。

未来は予想できず、時々での自身の選択が人生の彩りを決めることになり、
それは非常に意味深く、壮大で、哀しいながらも美しいと感じます。

今作は最早、選択肢がほとんど一択(脱出の道が無く、この世界に留まるという選択)
しかない状況下で、最後の日に人生を締めくくる時、
人(社会)は、どういった日常を送るのだろうと私なりに考え、脚本を作成しました。
視聴頂いて、何かを考えるきっかけとなっていましたら幸いです。



ここまで閲覧頂き、有難うございました!









     











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